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2018年12月 3日 (月)

あぐり新聞 12月号

 
 12月に入り今年もあっという間に1年が過ぎ去っていきます。皆様いかがお過ごしでしょうか。暖かい日が続いていたので秋の感覚でおりましたら、いきなり寒さがスタートして、もう 12月であることを思い出しました。年々 秋が短くなっている気がしますが、やはりカレンダー通りに冬が来るので油断してはいけませんね。
 松幸農産では麦の種まきが例年にないペースで進んでいます。11月が青天続きで、作業がとてつもなく進んで、全体の7割を終えることができました。昨年なら、この時期に半分も終わっていなくて、新年早々遅れを取り戻そうと四苦八苦しておりましたが、このペースなら12月の中旬には作業を終えることができそうです。「今年は安心して年末年始が迎えられるかもしれない」 過去に経験したことはありませんが、そんな淡い期待が実現することを願う今日この頃です。(たぶん期待で終わりますが)
 さて、平成として迎える最後の12月になりました。日々生活や仕事のなかで、変わることは何もありませんが、一つの時代が終わっていくことに感慨深く感じます。
 
 私が就農した20年前は、まだまだ個人の農家さんの時代でした。それぞれの家が米を作るための新品の農業機械を持っていて、農繫期はそれらが田んぼに出てくると賑やかに感じたものです。田植えともなると、家族総出で作業をして、「美田」を競っていました。
苗は線で引いたように真っ直ぐに植えられ、畔草は芝生のようにきれいに刈り取られています。当時の松幸農産は耕作面積こそ今の数分の一しかありませんでしたが、すでに大規模生産者としての歩みをスタートしていた時で、どうしても個人農家さんほどに美田にできず、「もっと草刈りしなさい!」と、よく怒られたものです。逆に大汗をかいて休憩していると、声をかけてくれてジュースをもらったりしていました。今思えば古き良き時代です。
 
 しかし、年を追うごとに離農する農家さんは増え、松幸農産の耕作面積も増えていきました。バラバラに耕作の依頼を受けていって、効率的ではなかったですが、松幸農産も大規模生産者に育っていきました。ただ、当時は大型生産者に対応する機械、農薬、肥料などは開発されておらず、個人農家さんと同じような装備のままです。また、米価がどんどん下がっていく時代とも重なっています。耕作面積が増えているのに、古い装備と米価の下落。できることは 朝から晩まで働くだけで、そうすることで何とか乗り越えようともがいていました。
 好転しない状況にあって、最大の試練が来たのが 政権交代の時です。農業政策が大幅に転換され、対応しきれずに会社の存続すら危うくなってしまいました。沈みゆく泥舟のような状態で、周りから一人二人と人が消えていき、膨大な面積を耕作することは不可能に思えて、「もう、無理だ・・・」と、言葉通りに眠れない夜が続きました。
 もう何も打つ手がないと苦しんでいる時に、東日本大震災がありました。東北のお米が市場から消え、米価の高騰をもたらしたのです。これは、今でも申し訳ない気持ちでいっぱいですが、これが原因で立て直す機会を得たのです。人手不足の時代でもなかったので、何とか人を集めて、田植えをして形だけは整えることができました。ただ、あくまで形だけで十分な体制ではありません。きちんと生産するためには、農地を減らすしかなお。しかし、農地を返却しては、離農して、信頼して農地を貸してくれた農家さんを裏切ってしまいます。

 散々悩んだ挙句に出した答えが転作でした。小麦を作ることで、作期を分散し、米の面積を減らし、耕作を継続する。米だけを作ってきた生産者としてのプライドはありましたが、最善の手に思えました。小麦の生産は初めてで全く自信はありませんでしたが、幸いにも最初の年が豊作で、米と麦の生産体系がうまく滑り出していったのです。その後、この体系が安定して、再度 耕作面積を無理なく増やして、米も転作前の面積を耕作するまでになりました。

 振り返ると、今でも確信的に思うのですが、人だけは恵まれていたと思っています。困難に直面して、自分一人でどうしようもないとき、そこには誰かがいてくれました。厳しい状態にあっても、心配してくれる人、助けてくれる人、我慢してくれる人、見守ってくれる人、笑顔を見せてくれる人、様々です。そうした離れずにいてくれる人がいて、私は農業を続けてこれましたし、今も松幸農産が元気に農業に励んでいけるのです。ありきたりの言葉ですが、本当に「感謝」しかありません。

 幸せに働き、苦労も経験して、平成も終わろうとしています。ここで一つの区切りをつけて、次の時代に進んで行こう、そんな意味も込めて、苦しい時期を振り返ってみました。新たに始まる時代も、自分たちの農業が続いていくように、自分たちが作るお米が誰かのためになるように。そんな松幸農産が続いていくように、心から願っています。

                                農業生産法人 松幸農産
                                      代表 松田丈輔

結びに
 皆様、今年も1年間本当にありがとうございました。非常に難しい時代ですが、こうして私たちのお米を食べてくださる皆様がいることが何よりの励みです。来年も少しでも皆様の期待に応えられるお米を作っていこうと思いますので、ぜひ見守って下さい。
 何かと慌ただしい季節ですが、どうか良いお年をお迎えられますように。
 1年間ありがとうございました。


餅の販売について  
 年末恒例の「お餅」を発送しております。全て手作りのため、待っていただくことや、特に年末が近くなると作り切れず「売り切れ」にすることがあります。
 できましたら、お早めのご注文をお願いします。


臨時休業を致します
 1月19日(土)~1月22日(火)まで、社員旅行のため臨時休業いたします。10年ぶりのことですので、ご不便をおかけしますが、どうかお許しください。その間のお米の発送もお休みですので、お早目のご注文をお願いします。

 12月29日(土)~1月4日(金)の間は、お休みを頂きます。
 年明けは1月5日(土)~の発送となります。

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