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2018年11月

2018年11月12日 (月)

あぐり新聞 11月号

皆様
 
 いつの間にか夏らしさは一掃されて、冬らしさばかりを感じる季節となりました。皆様いかがお過ごしでしょうか。
 今年最後の猛烈な台風は遠く離れていき、昨年のような水害に発展することはありませんでした。「もうこれ以上困らせないで」と、祈っていましたので 今は非常にホッとしているところです。
 松幸農産では11月に入り、小麦の種まきが始まりました。今年の10月は雨も少なく田面が乾いておりますので、例年にも増して準備が進み、いい形でスタートが切れました。逆に 悪天候での作業の遅れを想定して追加装備した機械は、活躍する場面もなく倉庫にたたずんでいます。準備をすると必要が無くて、準備をしないと必要になる。こんなことを繰り返して20年以上が経ちました。そろそろ、このガッカリ感に慣れなくては駄目ですね。
 
 さて、先日役場から呼び出しがありました。呼び出しと言っても何か悪いことをしたわけではなく、とある地域が今後の地域農業を一緒になって考えたいので、地域の生産者に集まってほしいというものです。
そこは 住民が多く農地面積が少ない地域ですが、離農が進んでいて地域の残った農家、大型の生産者など入り乱れて耕作がされています。 松幸農産も古くから借り受けて耕作しているので参加するよう呼び出されました。
 
 当日は 役場職員、県職員、地域の役員さん、生産者と総勢20名くらいでしょうか。話し合う内容も知らないまま指定された席に着きました。会で地域の役員さんが話されます。要約すると、「今後の地域の農地を守っていくのに、何人もの耕作者がバラバラの飛び地で耕作しているのは能率が悪いでしょう。ついては、各生産者が作りやすいように エリア分けを行い、効率化しませんか?」と、いうものです。
 
 言われるとおり、A、B、Cの生産者が10枚の田んぼを作っているとして、それらの田んぼは隣接することなく、バラバラに所在しています。各地主さんの希望(受け手の生産者の好き嫌い、条件、人間関係)によって 依頼先が違うからです。この申し出は私としては嬉しいものです。あっちへ行ったり、こっちから帰ってきたりでは効率とは程遠い。借りている農地が替わるので、今まで取り組んだ土づくりが無駄になってしまいますが、それ以上に今後の数十年間を考えるとメリットの大きい話だと感じました。生産者の何人かは私と同じように感じたはずです。
 
 しかし、そうでない方もたくさんいました。ある一人の方が発言します。「それはいいけど、それぞれ条件(賃料)が違うが、どう調整するつもり?」 すると 「それを話し合いたくて集まって頂きました」と、役員さん。ここが話し合いのキーだったようです。
つまり 農地が移動すると今までと違う生産者が耕作することになる。平等にするためには 条件を一つにするしかありません。でも、実際は賃料もバラバラで、これを統一するには誰かが必ず損(得)をします。その線をどこに設定するか話し合いたかったようです。賃料にはおおよその相場があって、どこも同じような賃料ですが、昔から近所付き合いの中で貸し借りを行っている生産者には また別の相場があります。その差は2倍くらい。この差を埋めることが本題でした。
 「高い賃料を下げて、下にそろえればいいじゃないか」 「それだけだと、地域が納得しません」 「賃料を上げろということか」 「どの程度なら可能か話し合いたいのです」 「そんなことしたら、うちが潰れてしまう」 「だから、歩み寄りを・・・」 「今すぐ排除してもらっても結構です!」と、話は一向に前に進みません。
 そんな中、私はどうしたかと言いますと、ただただ黙っていました。耕作面積は広げたいし、農地集約できれば楽になる。ただ 遠くない将来、今の賃料を維持できないと思っていますし、便乗して 「下げてください」 なんて無責任なことも言えません。また、賃料を上げられない現状をはっきりと理解しています。結局、何の結論も進展もないまま流会となりました。役場の職員さんが、「また話し合いの場を持てれば・・・」と まとめましたが、これは難しいでしょう。
 後日談ですが、地域の役員さんとしては 子の代、孫の代になって作る人がいなくなれば困るから 今のうち作りやすい環境を整えたかっただけでした。賃料の高低は避けて通れないけど、少しずつ着地点を探したかったようです。敢えて難しいことを承知の上で口火を切ろうとした善意なのだと理解しています。でも、難しいですね。
 どういう形がいいのでしょう。私としては、ある程度の規模の生産者が3つくらいで地域農業を守っていく姿が理想だと思います。1つだとリスクが高いし、今のようにたくさんいると競争力が足りません。今後、あるべき姿へと収斂していくと思うのですが、地域の分断が起こらないように合意形成を得て進めるには まだまだ何年もかかります。とにかく農業は時間がかかるものなのでしょうか。
                             農業生産法人 松幸農産
                             代表 松田丈輔
 餅の販売について
12月1日より年末恒例の「お餅」を搗きつき始めます。全て手作りのため待って頂くことや、作り切れず売り切れにすることがあります。できましたら、お早めのご注文をお願いします。
 
 中村さんが新聞で紹介されました。
高校卒業後 すぐに入社した中村菜美さん。今年で26歳になりました。女性ながら農産現場で働く姿が地方紙に紹介されました。なかなか美人な写真に仕上がって、本人はどうか知りませんが、私は非常に満足です。大切なスタッフの頑張りが評価されたようで非常に嬉しかったです。
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2018年11月 5日 (月)

あぐり新聞 10月号

皆様へ
いかがお過ごしでしょうか。
 
 あれほど暑かった夏は遠く過ぎ去り、今となっては「あれは現実だったのか?」と思うほど過ごしやすくなりましたね。松幸農産ではお米の刈り取りも全て終わって、新米の発送や年貢の配達などの仕事をひと段落したところです。10月は荒起こし、もみすり、小麦に播種準備と連続して仕事は続いていきます、収穫が終わった瞬間から、次年の31年産はスタートしますので気持ちも新たに農業を続けていこうと思っています。
 さて、今年は台風に泣かされた収穫でした。収穫前に来た台風20号はぶどうハウスのビニールを吹き飛ばし、ビニールの全面張り替えを余儀なくされました。収穫末期に来た台風21号は、昨年作ったばかりの同じくハウスの鉄骨ドアを吹き飛ばしました。他にも、カーポート、精米所のドア、道路の看板なども吹き飛ばし、近年まれにみる被害です。幸い保険に入っていますので、自己負担の損害は大きくなかったことが救いではありました。
 
そういった大型の台風が、この時期に来るとどうなるか?収穫がどのようになるかをご報告します。
 先の20号はほぼ直撃の台風でした。生育の早いものだけ収穫を初めていましたので、既に刈り取り時期に完全に入っていたのです。迫りくる暴風に激しく揺れる稲穂を見ながら、「何とか耐えてくれ」 と祈るような気持ちでした。朝に出勤して、吹き飛ばされたハウスはさておき、田んぼを見回ってみますと 少し倒れ始めていましたが、収穫に支障をきたすほどではありませんでした。それこそ踏ん張ってくれたのです。
しかし、稲穂は一度倒れ始めるともう元に戻ることはありません。日が経つにつれて、稲穂の重みでゆっくりと倒れていきます。倒状を止められない限り、できることは一刻も早く収穫を進めてしまうこと。その後は 晴れが続きましたので、必死に刈り取りを進めて行きました。
 そんな中で、台風21号は発生しました。「最強」という枕詞がついております。何とか逃げ切ろうと一生懸命作業を進めましたが、どうしても間に合いません。台風当日は安全のため自宅待機でしたが、暴風が家を揺らし、突風が雨戸を叩きつけます。怖くてドアも開けられません。台風は朝から暴風圏に入り、夕方に通り過ぎました。夕方にはまだ強風でしたが、すぐに家を出て松幸農産に向かいます。
強いはずの鉄骨ハウスが飛ばされているのを横目に田んぼを見に行きました。そこにあったのは、もう破滅的なほどに倒状した田んぼの姿です。ぐしゃぐしゃに折り重なるように倒れてしまって、水に浸かっています。
「これ、どうしたらいいんだ?」 とガックリきて、何度もため息が出てきます。自分自身も押しつぶされたような感覚になります。もうできることはありません。
結局、2万平方メートル(6,000坪)程度が刈り取れず、被害額は300万円。もちろん保険なんてあるはずもなく、決して少ない被害ではありません。何とかわずかでも刈り取れないかと努力してみましたが、いつもの何倍も時間をかけて刈り取ってみても出来上がったお米は廃棄するしかない程度のものでした。後日、もみ殻と一緒に土に戻す予定です。
 農業をしていれば自然の驚異なんてあって当然のこと。そうならないために強い作物を育てます。もともと倒状に弱いコシヒカリであっても、根張りを良くし茎が太くなるように育てて、力強い稲へともっていきます。そうして収穫期にくる最悪の台風に対して、1回は耐えることができました。でも2回は難しかった。想定外と言えば、言い訳になるかもしれませんが籾が充実しきった段階ではどうしようもありませんでした。こうして今年の収穫は終わりました。
 今年の経験を来年にどのように活かせるか、まだ答えは出ていません。振り返っても、何が悪かったとは まだ思えないのです。そんな煮え切らないままでも、秋から冬、冬から春へと季節は前に進んでいきます。悔しいけれど、せめて気持ちだけは負けないように次の耕作へ向かおうと思っています。
                                       農業生産法人 松幸農産
                                       代表 松田丈輔
倒れても・・・
 倒状した数日後、稲のすごさを実感しました。水平に倒れた稲の一番下の株の間から次の「苗」が突きだしているのです。稲穂は茶色なのに「苗」は緑色。茶色の田面に田植えの後のように緑色の苗がずらっと並んでいました。しゃんと真っ直ぐに上に向かって。おそらく稲本来の力なのでしょうね。ものすごい生命力です。
コンバインのこと
 思い切って購入した新型コンバイン。エンジンも大きく、とにかく動作がものすごく早いです。旧型と比べて どんどん作業が進んで行きます。例年なら どんなに一生懸命刈り取ってもセンターにある乾燥機が満杯になることはシーズンに数日しかありませんでしたが、今年は ほぼ毎日満杯になりました。
すると自然と帰社も早くなりますよね。これはこれで悪いことではないのですが。肩透かしと言いますか、もっとガンガン頑張れるのに、施設(乾燥機)の都合で仕事を終えなくてはならないのはやはり残念です。もう数日あれば、台風被害も避けられたことを考えると、来年は乾燥機を追加しようか迷っています。よりよく働くために、良い収穫を得られるように。
30年産の品質について
 今年のお米は、夏に高温が続いたため乳白色の粒が散見されます。今年の気候での特徴としてそのようになりました。高性能の選別機を新たに導入し、できる限り入らないように注意しておりますが、完璧ではありませんので 気になられる方も多いかもしれません。
もし、気になられるようでしたら、松幸農産までご連絡ください。すぐに交換させて頂きます。
 

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