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2018年8月

2018年8月 4日 (土)

あぐり新聞 8月号

皆様へ

 記録的は酷暑の中、皆様いかがお過ごしでしょうか。
いよいよ収穫が目前に迫ってきました。7月下旬現在で、倉庫のお米はほぼ空っぽになり、代わりに新しく買うことになってしまったコンバインが静かに出動の時期を待っています。

 8月の雨が降る日に乾燥機と倉庫の掃除、古いコンバインのオイル交換や整備を行って、お盆明けには収穫用のダンプカーをレンタルして全ての準備が整います。予定では8月25日頃には刈り取り開始、すぐに出荷が開始できるかと思います。
30年産の新米まであと少し!今しばらくお待ち下さい。

 さて、「もう暑くて暑くて仕方ありません」と先月に書きましたが、「もう暑くて死にそうです」に訂正させてください。木陰にいても、ムワッとした熱波から逃れるわけでもなく、また心地よいはずの風もただの熱風でしかありません。
毎日ただ ただ「怒り」がわき起こるばかりで、「明るく 元気よく働こう!」なんて言おうものなら それこそ空気の読めない馬鹿者の言葉と誰しもが思うでしょう。それが今年の暑さで、私たちの伊勢平野も例外では全くありませんでした。雨も降らずに、曇りもない。本当にひどい天候です。

 テレビを見ていると、何かの基準を越えたりして、「危険ですので外出は控えましょう」とアナウンサーが呼びかけたりしています。確かに命の危険さえ感じる暑さですので、言われていることはもっともです。でも、私たちお米の生産者はこの時期は炎天下の田んぼ以外の仕事はほとんどありません。田んぼの止水板の撤去が主な仕事。それらを一つ一つ行わなくてはなりません。どれも避けることはできないのです。

 更にもう一つ。7月下旬に今年ならではの仕事が増えました。それは肥料を追加することです。冬の土づくりで松幸農産の田んぼの地力は弱くありません。肥料過多にならないように、かつ適切な品質と収量を確保するために準備してきたからです。
しかし、春から暖かく暑かった今年は苗は旺盛に生育してしまいました。良く育っている分、必要な栄養素も多く必要で、またこの暑さに打ち勝つ生命力を維持するためにも、更に養分は増えてしまいました。見ていると少し「色落ち」が激しくなって、ヘタってきているのが分かります。

こうなると元気を取り戻すために少し肥料を追加するしかありません。方法は肥料を積んだ約40Kgのランドセルのような動力散布機を背負って、田んぼの中を練り歩くのです。大きく育った苗を傷つけないために大型機械は田んぼに入れませんので、この時期は人力だけが頼りです。
上から直射日光、下からの湿気、背中で轟音をあげるエンジンの熱気。さっさと終わらせたくても、40Kgを背負った状態でつまづいて倒れると、もう立ち上がることができないのでそうならないよう自然と歩みはゆっくりとなります。濡れ雑巾のような状態でもうろうとする意識で 「もうやらなくて良いんじゃないの?」 と思ったりもします。でも元気をなくしているのは全体からみて多くないし、頑張れば手の届くことだし何より見捨てることはできないし、毎日弱っていく姿を見続けるほど強くないし。そんないろいろな葛藤を乗り越えて、結局この作業もいつしかは終わっていました。

 暑すぎる夏は何も良いことがありません。稲に被害が出たり、誰かが熱中症で倒れたり、不測の事態が起こります。高温がどれほどお米に影響しているか楽観もできません。
ただ、それが現実ですし農業です。良いこともあれば、悪いこともある。自分たちは一生懸命できることを行い、あとは受け止めることが仕事です。

苦労した米作りも最終章を迎えました。8月下旬に収穫するお米が素晴らしいものであることを願っています。また、今年の夏が来年にはただの思い出話になることを同じくらい願っています。

                            農業生産法人 松幸農産
                                 代表 松田 丈輔

空調服について
 先月号で話題にしました扇風機付きの空調服ですが、全員分を購入することに決めました。外気の熱風が送られてくるだけなので期待していた「クーラーの中」みたいな感じではありませんが、少し快適に過ごすことができます。シーズン終盤の今ではなくもう少し早く導入していればと後悔しています。来年は買ってよかったと思える暑い夏か、必要なかったと悔しがる涼しい夏か、どちらが良いか迷うところですね。

スズメが・・・
 一部、作付ている酒米の五百万石。コシヒカリと比べて生育が非常に早いです。他を追い抜いて一番に稲穂になってしまいました。新米を待っているのは何も人間だけでなく スズメたちも同じ。この田んぼを目指して、毎日スズメが集まってきて困っています。数年ぶりに田んぼに防鳥テープを張り巡らせました。効果はいかに?

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あぐり新聞 7月号

皆様へ

 夏本番が始まりました。皆様いかがお過ごしでしょうか。

照りつける陽射しとムワッとする空気。じっとしていても流れ出る汗。
もう暑くと暑くて仕方がありません。

冷却ファン付きの作業着を着用すればクールに過ごせるのかもしれませんが、まだあまり普及していないところを見ると、「よし、買おう!」 と決心もできません。
「対策は?」 と言われると何もなくて ただただ 「暑いと考えない」 と答える。暑さは快適さを求めるのではなくて、乗り越えるものだと考えています。皆様はどうですか?

 さて、小麦の収穫が終わった松幸農産。今年は不作となってしまいました。転作を始めて5年ほど経ちますが、ここまで期待通りにいかなかったことはなく、実は非常に頭を痛めております。
農業法人である限り、農産物は必ず一定量を収穫しなくてはなりません。もちろん、天候によってうまくいかないことがありますが、そういったことを考慮して、また予測 したりして減収によるリスクを乗り越えていくものです。
大幅な減収に陥った場合の共済制度もあって、最悪はそれに助けてもらうことになるかもしれませんが、あくまで保険の位置づけで、「使うべきではないもの」 として考えています。ですから、常にきちんと収穫できるように最新の注意を払いながら日々作業を行います。
ただ、小麦には「連作障害」という避けては通れない問題があります。お米とは違い、畑作物の小麦は同じ圃場で毎年作り続けることができません。また、排水性の高い圃場(畑の地質)が適していて、保水性を必要とする田んぼとは性質が異なります。

 松幸農産のある伊勢平野は、お米を育てるには適したしっかりとした土壌が多く、麦を育てるサラサラした畑の土壌が少ないのです。連作が効かず、小麦に適した土壌の圃場も少ない。この条件ではどうしてもお米の土壌で小麦を作らざるをえません。
今年がそれにあたりました。連作にならない田んぼに小麦の種をまいて、雨が少なければうまくいき、雨が多ければ減収になることを覚悟ですすめるしかなかった。それが裏目に出たのです。予測できたことだけど、実際に起こると残念でなりません。共済を使うほど減収ではなかったことが唯一の幸いでした。

 さあ、こうなるともうお米に頼るしかありません。「お米の収穫が悪ければ・・・」 なんて考えたくもないし、考えてところで何の足しにもならない。田植えをして2ヶ月以上が過ぎ、もう戻ることさえできないのです。
今、田んぼにある苗を大切に育てるしかない。ここまで来ると、あとは苗の自力と天候が大事ですが私たちができることがまだあるのではないかと自ら問いかける日々です。
ただ、一つだけ光明があるとすれば、今年は冬の間に例年以上に土壌改良に力を入れておいたところです。小麦の減収を予測してのことではなく、より良いお米を育てるためにより良い土壌を作っておこうとの考えからでした。小麦用にもお米用にも行ったことなので、楽観することはありませんが、現在の苗はがっしりとした体躯を、どっしりとした根が支えて非常に力強く育っています。十分に地力を吸い上げ、日照がしっかりあればお米はなんとかなるのではないか。いや、もしかしたら小麦の減収分をカバーするに足りるのではないかと祈る気持ちで期待しています。

 農業が数式にようなら良いのにと思わずにはおれません。「1+1=2」のように 「農作業+努力=良い収穫」 となればどれほど良いことか。でも、実際はそこに様々な要因が複雑に絡まり合って、時に「足し算」 時に「引き算」、ある時は「掛け算」、またある時は「割り算」と変化し続けてしまいます。同じ手順で同じ作業をすることが、一つとして結果を担保してくれるものではない。宿命と一言で片づけるには、あまりにも辛い現実が確かに農業にはあります。
「打ち勝つ・・・」しかないのですね。失敗は来年に打ち勝つための材料に、成功もまた来年に負けないための材料に、一つ一つ積み重ねて生きていくしかありません。

7月に入り、お米の収穫のためにできることは、もうこの1ヵ月だけです。最後の最後まで、のたうちまわって頑張っていきます。

秋に素晴らしい収穫が迎えられることを心から願い、そして毎日祈るように過ごしております。

                           農業生産法人 松幸農産
                                代表 松田丈輔

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