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2017年10月10日 (火)

あぐり新聞 10月号

松幸農産では手仕事よろず横丁、収穫祭とイベントが続き、忙しい日々でした。ブログの更新が少し遅れましたがあぐり新聞をお届けいたします。

皆様へ 

 10月に入り、すっかり秋も深まってまいりました。いかがお過ごしでしょうか。松幸農産では9月中旬に全ての収穫を無事に終えることができました。大豊作であった昨年よりは収穫量は落ちましたがそれでも過去2番目の豊作です。味もしっかりと甘みが乗った美味しいお米です。地道に取り組んできた土づくりが着実に実を結びつつある。そう実感しています。目に見えない土の世界、コントロールが効かない気候であっても工夫や苦労は決して裏切りません。これから始まる30年産に向けて信じることを一つ一つ積み上げ、更に上を目指していこうと思っています。私、45歳、引退まであと30年? まだまだやれることはあるはずです。

 

 会社で農業をしていると、農家さんに急なお願いをされることがあります。この時期ですので、収穫の依頼なのですが、年間のスケジュールや担当者が決まっている松幸農産では基本的に請け合うことはありません。人員、機械に限りがあり、引き受けてしまうと自分たちの作業に大きく影響してしまい、後々、後悔したことが何度もあるからです。逆に引き受ける場合は、次年度の耕作を松幸農産が行うことが決まっている時だけです。頼まれれば何でもするというわけではないので「なんだか、生意気だなあ・・」と幻滅される方もいるかもしれません。「助けてやればいいのに・・・」と思われるかもしれません。実は、農作業を専門に請け負う生産者グループもあって病気などで突然作れなくなったとしても、お金はかかりますが収穫できないなんてことにはなりません。この辺りは上手く住み分けができていると言えるでしょう。

 さて、ある日収穫したお米を乾燥機に入れる作業をしていたら見慣れぬおじいさんがやってきました。センターに敷地内に軽トラックを止めて誰に声をかけるでもなく敷地内を歩いています。目があっても声をかけてきません。不審に思って尋ねると「いや、ちょっと見るだけや」 と答えます。こちらも忙しいので「ああ、気を付けて見てくださいね」とだけ言って離れようとしました。すると「お前とこ、稲刈りしてくれへんか?」 と言われます。「あの、どちらさんでした?」 「どこの誰とは言えへんけど、やらへんのか?」 私は先に書いた理由で請け負わない事を伝えました。するとおじいさんは怪訝な顔をして帰ってしまいました。

 二日後、同じおじいさんがやってきて「やっぱり、お前とこで刈ってくれや」 「いや、やらないんです。JA経由で聞けばたくさんいるでしょう」 名前さえ知らない人です。断る気しかありません。 

「俺はお前とこで刈ってほしいんや」 

「何故ですか?」

「お前とこはええ噂しか聞かへんからや」

「!!!!!」

 うおっ!!と心が浮いてしまいました。何ということを言う人でしょう。これではまるで「オンリーユー」 と告白されたようなものです。「そう言われましてもルールが・・・」 と答える私に「とにかく一回田んぼを見てくれ」と私を車に押し込めました。着いてみると耕作したことのない地域でしたが近所には知っている生産者もいます。「○○さんには聞いてみましたか?」 と聞いても 「頼んでもおらん・・」 と言われます。目の前の田んぼは出来も素晴らしく、立派なものです。今すぐ刈るのがベストだと一目でわかりました。「いい田やろ」 「いや、確かにいい田んぼです」 「いずれ、お前とこに作ってもらうつもりや」 「そうですか・・・」 本当かな??と思いつつも断る台詞が出てきません。実は「お前とこに・・・」と言われた瞬間からもう、嬉しくて舞い上がってしまい、逆に引き受ける理由を探し始めていました。そしてこの「いずれ・・・」が私を後押しし。二日後の朝一に収穫させてもらいました。すごく喜んでくれて、それはそれで良かったのだと思いました。

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 結局、この方を含め今年は3軒の依頼を受けました。数年に1軒しか依頼はないので今年は多い方です。理由は全員同じ、急に健康を害して作れなくなったから。この方同様にドクターストップ、家族ストップです。高齢の農家さんの本当の限界が近づいているのでしょうか。実はは今回の方も収穫、乾燥調製後のお米を「明日、取りにくる」 と言われてから10日ほど連絡が取れませんでした。気分が悪くなって入院されていたそうです。お米を渡せた日、「田んぼは松幸さんに貸そうかな・・・」とつぶやかれたのが印象的でした。たとえ次の仕事にならなくても「他の人に依頼してください」 では駄目になってきているのかもしれません。少し考え方を変えていこうかなと思うようになりました。

                          農業生産法人 松幸農産
                                 代表 松田丈輔 

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