2018年12月26日 (水)

あぐり新聞 2019年1月号

 あけましておめでとうございます
 本年もよろしくお願いいたします
皆様へ
 いかがお過ごしでしょうか。いよいよ「平成31年」の幕開けですね。次の元号まで5カ月しかありませんが、新年はあくまで平成の世です。現元号に敬意を表したい。一方で私たちは次の時代へ走り始める。そんな年明けでもあります。新年は今まで以上にワクワクするのは私だけでしょうか。
 松幸農産では、11月中に麦の作業が終わってしまったので、31年産の米作りにまい進しています。昨年あまり良くなかった収穫でしたので、何とか暑さを乗り越える環境を作り上げようと、再度 土壌の現状を見直し、土づくりを行っています。
近年は、基本的な土壌成分だけでなく、微量要素が注目されていて、マンガン、ホウ素、モリブデンなど聞き覚えのない微量要素の必要性が認識されてきました。
 自動運転などの効率化とは別のところで、生育環境の最適化が注目されているのです。本格導入の前段階として まずはそれら実験を行おうと考えています。年に1回の米作りですので、進みは遅いですが着実に進めて行こうと考えております。
 さて、いよいよ農業界が大きく動く1年のスタートです。良くも悪くもお米を取り巻く生産現場で激動が始まるかもしれません。
 昨年のあぐり新聞で書きましたが、国が生産調整から離れてこれからは業界が主導して需給調整を行うことになりました。これが、「平成30年問題」ですね。もう31年だからこれからではないと思われるかもしれませんが、こういった国の政策で何か変化を感じたり、また業界が動き始めるのは、タイムラグがあって1年後のことです。「どう変わるのか」が見えないので1年目はほとんどの人が様子見をして動かない。そして、1年後に本格始動する。いつものことで想定内のことです。
 その上で、平成30年はどうだったかというと、「お米を作って何も不利益はなかった」とみんなが感じた年でした。松幸農産もそうですが、今までの生産調整の縛りが無くなったので、若干多めな米の作付けになりました。
全国的に同じようなもので、本来これで供給過剰になります。しかし、それを北日本の不作が打ち消しました。供給量にそれほど変化がなく29年と30年では何の危機感も生まれなかったのです。
するとみんながこう考えます。「面倒な転作をするより、米を作った方が得ではないか?」 実際に、私の周りでは 年十年と生産調整に参加してきた生産者が、今年から「生産調整をやめる」と言い始め、米の作付けに変更するようです。思い切った判断ですが、その方が得ですので間違っていません。
ですが、仮に多くの人が同じように考えて米の作付けが増え、また 来年が豊作となればどうでしょう。供給過剰になって、お米が一気に余りはじめます。「平成30年問題」が、一気に表面化する。これが、今年起こるかもしれません。あくまで可能性の話しですが。
 実は、5年前にこのシナリオを想像しました。どこかの早いタイミングで供給過剰になる。それはつまり米価が大幅に下落するという意味です。9年前に政策変更の波にのまれ、非常に苦労した身ですので このことを楽観することはできませんでした。依頼ずっと数年後に起こるであろう激動を乗り切ることを 農業経営の根幹にしてきました。
やるべきことは真面目にお米を作ること。品質を上げ、反収を増やし、きちんと農地を管理する。調子に乗らず、傲慢にならず、身の丈にあった農業を行う。地味すぎますが、そんな地味なことを積み重ねて今があり、仮に次に何があっても乗り切れるだけの自信を持つに至っております。私は私で間違ってないと考えています。
 「心配しすぎで、何も起こらなかったら?」 そうですね。残念ですね。
大雨に備えて傘を用意したのに必要なかったようなものです。傘を持つ手があいていれば、もっと色々とできたかもしれませんね。心配しすぎだと笑われるかもしれません。
 
 でも、と思うのです。農業で最も大切なことは、「持続可能かどうか」。流行り廃りの世界ではなく、普遍的な価値としての「食糧」を生産する私たちの役割は、作り続けていけるかどうかです。大地を耕し続けてみんなが食べていけるようにするのです。
そして、私は生産者として誠実に農業を続けていきたいと考えています。食料が十分ある社会を維持できるように、そんな役割を担う松幸農産であり続けたい。
 今年ではないかもしれないけれど、新しい時代に入れば、その時々の「荒波」が迫ってくるでしょう。それをいつの日も乗り越えて、着実に歩を進めて行く、そんな思いです。
不安もあるけど希望もいっぱい。「ど~んと来い!」で行きましょう。
新しい時代が始まります。
                                     農業生産法人 松幸農産
                                           代表 松田丈輔

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2018年12月 3日 (月)

あぐり新聞 12月号

 
 12月に入り今年もあっという間に1年が過ぎ去っていきます。皆様いかがお過ごしでしょうか。暖かい日が続いていたので秋の感覚でおりましたら、いきなり寒さがスタートして、もう 12月であることを思い出しました。年々 秋が短くなっている気がしますが、やはりカレンダー通りに冬が来るので油断してはいけませんね。
 松幸農産では麦の種まきが例年にないペースで進んでいます。11月が青天続きで、作業がとてつもなく進んで、全体の7割を終えることができました。昨年なら、この時期に半分も終わっていなくて、新年早々遅れを取り戻そうと四苦八苦しておりましたが、このペースなら12月の中旬には作業を終えることができそうです。「今年は安心して年末年始が迎えられるかもしれない」 過去に経験したことはありませんが、そんな淡い期待が実現することを願う今日この頃です。(たぶん期待で終わりますが)
 さて、平成として迎える最後の12月になりました。日々生活や仕事のなかで、変わることは何もありませんが、一つの時代が終わっていくことに感慨深く感じます。
 
 私が就農した20年前は、まだまだ個人の農家さんの時代でした。それぞれの家が米を作るための新品の農業機械を持っていて、農繫期はそれらが田んぼに出てくると賑やかに感じたものです。田植えともなると、家族総出で作業をして、「美田」を競っていました。
苗は線で引いたように真っ直ぐに植えられ、畔草は芝生のようにきれいに刈り取られています。当時の松幸農産は耕作面積こそ今の数分の一しかありませんでしたが、すでに大規模生産者としての歩みをスタートしていた時で、どうしても個人農家さんほどに美田にできず、「もっと草刈りしなさい!」と、よく怒られたものです。逆に大汗をかいて休憩していると、声をかけてくれてジュースをもらったりしていました。今思えば古き良き時代です。
 
 しかし、年を追うごとに離農する農家さんは増え、松幸農産の耕作面積も増えていきました。バラバラに耕作の依頼を受けていって、効率的ではなかったですが、松幸農産も大規模生産者に育っていきました。ただ、当時は大型生産者に対応する機械、農薬、肥料などは開発されておらず、個人農家さんと同じような装備のままです。また、米価がどんどん下がっていく時代とも重なっています。耕作面積が増えているのに、古い装備と米価の下落。できることは 朝から晩まで働くだけで、そうすることで何とか乗り越えようともがいていました。
 好転しない状況にあって、最大の試練が来たのが 政権交代の時です。農業政策が大幅に転換され、対応しきれずに会社の存続すら危うくなってしまいました。沈みゆく泥舟のような状態で、周りから一人二人と人が消えていき、膨大な面積を耕作することは不可能に思えて、「もう、無理だ・・・」と、言葉通りに眠れない夜が続きました。
 もう何も打つ手がないと苦しんでいる時に、東日本大震災がありました。東北のお米が市場から消え、米価の高騰をもたらしたのです。これは、今でも申し訳ない気持ちでいっぱいですが、これが原因で立て直す機会を得たのです。人手不足の時代でもなかったので、何とか人を集めて、田植えをして形だけは整えることができました。ただ、あくまで形だけで十分な体制ではありません。きちんと生産するためには、農地を減らすしかなお。しかし、農地を返却しては、離農して、信頼して農地を貸してくれた農家さんを裏切ってしまいます。

 散々悩んだ挙句に出した答えが転作でした。小麦を作ることで、作期を分散し、米の面積を減らし、耕作を継続する。米だけを作ってきた生産者としてのプライドはありましたが、最善の手に思えました。小麦の生産は初めてで全く自信はありませんでしたが、幸いにも最初の年が豊作で、米と麦の生産体系がうまく滑り出していったのです。その後、この体系が安定して、再度 耕作面積を無理なく増やして、米も転作前の面積を耕作するまでになりました。

 振り返ると、今でも確信的に思うのですが、人だけは恵まれていたと思っています。困難に直面して、自分一人でどうしようもないとき、そこには誰かがいてくれました。厳しい状態にあっても、心配してくれる人、助けてくれる人、我慢してくれる人、見守ってくれる人、笑顔を見せてくれる人、様々です。そうした離れずにいてくれる人がいて、私は農業を続けてこれましたし、今も松幸農産が元気に農業に励んでいけるのです。ありきたりの言葉ですが、本当に「感謝」しかありません。

 幸せに働き、苦労も経験して、平成も終わろうとしています。ここで一つの区切りをつけて、次の時代に進んで行こう、そんな意味も込めて、苦しい時期を振り返ってみました。新たに始まる時代も、自分たちの農業が続いていくように、自分たちが作るお米が誰かのためになるように。そんな松幸農産が続いていくように、心から願っています。

                                農業生産法人 松幸農産
                                      代表 松田丈輔

結びに
 皆様、今年も1年間本当にありがとうございました。非常に難しい時代ですが、こうして私たちのお米を食べてくださる皆様がいることが何よりの励みです。来年も少しでも皆様の期待に応えられるお米を作っていこうと思いますので、ぜひ見守って下さい。
 何かと慌ただしい季節ですが、どうか良いお年をお迎えられますように。
 1年間ありがとうございました。


餅の販売について  
 年末恒例の「お餅」を発送しております。全て手作りのため、待っていただくことや、特に年末が近くなると作り切れず「売り切れ」にすることがあります。
 できましたら、お早めのご注文をお願いします。


臨時休業を致します
 1月19日(土)~1月22日(火)まで、社員旅行のため臨時休業いたします。10年ぶりのことですので、ご不便をおかけしますが、どうかお許しください。その間のお米の発送もお休みですので、お早目のご注文をお願いします。

 12月29日(土)~1月4日(金)の間は、お休みを頂きます。
 年明けは1月5日(土)~の発送となります。

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2018年11月12日 (月)

あぐり新聞 11月号

皆様
 
 いつの間にか夏らしさは一掃されて、冬らしさばかりを感じる季節となりました。皆様いかがお過ごしでしょうか。
 今年最後の猛烈な台風は遠く離れていき、昨年のような水害に発展することはありませんでした。「もうこれ以上困らせないで」と、祈っていましたので 今は非常にホッとしているところです。
 松幸農産では11月に入り、小麦の種まきが始まりました。今年の10月は雨も少なく田面が乾いておりますので、例年にも増して準備が進み、いい形でスタートが切れました。逆に 悪天候での作業の遅れを想定して追加装備した機械は、活躍する場面もなく倉庫にたたずんでいます。準備をすると必要が無くて、準備をしないと必要になる。こんなことを繰り返して20年以上が経ちました。そろそろ、このガッカリ感に慣れなくては駄目ですね。
 
 さて、先日役場から呼び出しがありました。呼び出しと言っても何か悪いことをしたわけではなく、とある地域が今後の地域農業を一緒になって考えたいので、地域の生産者に集まってほしいというものです。
そこは 住民が多く農地面積が少ない地域ですが、離農が進んでいて地域の残った農家、大型の生産者など入り乱れて耕作がされています。 松幸農産も古くから借り受けて耕作しているので参加するよう呼び出されました。
 
 当日は 役場職員、県職員、地域の役員さん、生産者と総勢20名くらいでしょうか。話し合う内容も知らないまま指定された席に着きました。会で地域の役員さんが話されます。要約すると、「今後の地域の農地を守っていくのに、何人もの耕作者がバラバラの飛び地で耕作しているのは能率が悪いでしょう。ついては、各生産者が作りやすいように エリア分けを行い、効率化しませんか?」と、いうものです。
 
 言われるとおり、A、B、Cの生産者が10枚の田んぼを作っているとして、それらの田んぼは隣接することなく、バラバラに所在しています。各地主さんの希望(受け手の生産者の好き嫌い、条件、人間関係)によって 依頼先が違うからです。この申し出は私としては嬉しいものです。あっちへ行ったり、こっちから帰ってきたりでは効率とは程遠い。借りている農地が替わるので、今まで取り組んだ土づくりが無駄になってしまいますが、それ以上に今後の数十年間を考えるとメリットの大きい話だと感じました。生産者の何人かは私と同じように感じたはずです。
 
 しかし、そうでない方もたくさんいました。ある一人の方が発言します。「それはいいけど、それぞれ条件(賃料)が違うが、どう調整するつもり?」 すると 「それを話し合いたくて集まって頂きました」と、役員さん。ここが話し合いのキーだったようです。
つまり 農地が移動すると今までと違う生産者が耕作することになる。平等にするためには 条件を一つにするしかありません。でも、実際は賃料もバラバラで、これを統一するには誰かが必ず損(得)をします。その線をどこに設定するか話し合いたかったようです。賃料にはおおよその相場があって、どこも同じような賃料ですが、昔から近所付き合いの中で貸し借りを行っている生産者には また別の相場があります。その差は2倍くらい。この差を埋めることが本題でした。
 「高い賃料を下げて、下にそろえればいいじゃないか」 「それだけだと、地域が納得しません」 「賃料を上げろということか」 「どの程度なら可能か話し合いたいのです」 「そんなことしたら、うちが潰れてしまう」 「だから、歩み寄りを・・・」 「今すぐ排除してもらっても結構です!」と、話は一向に前に進みません。
 そんな中、私はどうしたかと言いますと、ただただ黙っていました。耕作面積は広げたいし、農地集約できれば楽になる。ただ 遠くない将来、今の賃料を維持できないと思っていますし、便乗して 「下げてください」 なんて無責任なことも言えません。また、賃料を上げられない現状をはっきりと理解しています。結局、何の結論も進展もないまま流会となりました。役場の職員さんが、「また話し合いの場を持てれば・・・」と まとめましたが、これは難しいでしょう。
 後日談ですが、地域の役員さんとしては 子の代、孫の代になって作る人がいなくなれば困るから 今のうち作りやすい環境を整えたかっただけでした。賃料の高低は避けて通れないけど、少しずつ着地点を探したかったようです。敢えて難しいことを承知の上で口火を切ろうとした善意なのだと理解しています。でも、難しいですね。
 どういう形がいいのでしょう。私としては、ある程度の規模の生産者が3つくらいで地域農業を守っていく姿が理想だと思います。1つだとリスクが高いし、今のようにたくさんいると競争力が足りません。今後、あるべき姿へと収斂していくと思うのですが、地域の分断が起こらないように合意形成を得て進めるには まだまだ何年もかかります。とにかく農業は時間がかかるものなのでしょうか。
                             農業生産法人 松幸農産
                             代表 松田丈輔
 餅の販売について
12月1日より年末恒例の「お餅」を搗きつき始めます。全て手作りのため待って頂くことや、作り切れず売り切れにすることがあります。できましたら、お早めのご注文をお願いします。
 
 中村さんが新聞で紹介されました。
高校卒業後 すぐに入社した中村菜美さん。今年で26歳になりました。女性ながら農産現場で働く姿が地方紙に紹介されました。なかなか美人な写真に仕上がって、本人はどうか知りませんが、私は非常に満足です。大切なスタッフの頑張りが評価されたようで非常に嬉しかったです。
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2018年11月 5日 (月)

あぐり新聞 10月号

皆様へ
いかがお過ごしでしょうか。
 
 あれほど暑かった夏は遠く過ぎ去り、今となっては「あれは現実だったのか?」と思うほど過ごしやすくなりましたね。松幸農産ではお米の刈り取りも全て終わって、新米の発送や年貢の配達などの仕事をひと段落したところです。10月は荒起こし、もみすり、小麦に播種準備と連続して仕事は続いていきます、収穫が終わった瞬間から、次年の31年産はスタートしますので気持ちも新たに農業を続けていこうと思っています。
 さて、今年は台風に泣かされた収穫でした。収穫前に来た台風20号はぶどうハウスのビニールを吹き飛ばし、ビニールの全面張り替えを余儀なくされました。収穫末期に来た台風21号は、昨年作ったばかりの同じくハウスの鉄骨ドアを吹き飛ばしました。他にも、カーポート、精米所のドア、道路の看板なども吹き飛ばし、近年まれにみる被害です。幸い保険に入っていますので、自己負担の損害は大きくなかったことが救いではありました。
 
そういった大型の台風が、この時期に来るとどうなるか?収穫がどのようになるかをご報告します。
 先の20号はほぼ直撃の台風でした。生育の早いものだけ収穫を初めていましたので、既に刈り取り時期に完全に入っていたのです。迫りくる暴風に激しく揺れる稲穂を見ながら、「何とか耐えてくれ」 と祈るような気持ちでした。朝に出勤して、吹き飛ばされたハウスはさておき、田んぼを見回ってみますと 少し倒れ始めていましたが、収穫に支障をきたすほどではありませんでした。それこそ踏ん張ってくれたのです。
しかし、稲穂は一度倒れ始めるともう元に戻ることはありません。日が経つにつれて、稲穂の重みでゆっくりと倒れていきます。倒状を止められない限り、できることは一刻も早く収穫を進めてしまうこと。その後は 晴れが続きましたので、必死に刈り取りを進めて行きました。
 そんな中で、台風21号は発生しました。「最強」という枕詞がついております。何とか逃げ切ろうと一生懸命作業を進めましたが、どうしても間に合いません。台風当日は安全のため自宅待機でしたが、暴風が家を揺らし、突風が雨戸を叩きつけます。怖くてドアも開けられません。台風は朝から暴風圏に入り、夕方に通り過ぎました。夕方にはまだ強風でしたが、すぐに家を出て松幸農産に向かいます。
強いはずの鉄骨ハウスが飛ばされているのを横目に田んぼを見に行きました。そこにあったのは、もう破滅的なほどに倒状した田んぼの姿です。ぐしゃぐしゃに折り重なるように倒れてしまって、水に浸かっています。
「これ、どうしたらいいんだ?」 とガックリきて、何度もため息が出てきます。自分自身も押しつぶされたような感覚になります。もうできることはありません。
結局、2万平方メートル(6,000坪)程度が刈り取れず、被害額は300万円。もちろん保険なんてあるはずもなく、決して少ない被害ではありません。何とかわずかでも刈り取れないかと努力してみましたが、いつもの何倍も時間をかけて刈り取ってみても出来上がったお米は廃棄するしかない程度のものでした。後日、もみ殻と一緒に土に戻す予定です。
 農業をしていれば自然の驚異なんてあって当然のこと。そうならないために強い作物を育てます。もともと倒状に弱いコシヒカリであっても、根張りを良くし茎が太くなるように育てて、力強い稲へともっていきます。そうして収穫期にくる最悪の台風に対して、1回は耐えることができました。でも2回は難しかった。想定外と言えば、言い訳になるかもしれませんが籾が充実しきった段階ではどうしようもありませんでした。こうして今年の収穫は終わりました。
 今年の経験を来年にどのように活かせるか、まだ答えは出ていません。振り返っても、何が悪かったとは まだ思えないのです。そんな煮え切らないままでも、秋から冬、冬から春へと季節は前に進んでいきます。悔しいけれど、せめて気持ちだけは負けないように次の耕作へ向かおうと思っています。
                                       農業生産法人 松幸農産
                                       代表 松田丈輔
倒れても・・・
 倒状した数日後、稲のすごさを実感しました。水平に倒れた稲の一番下の株の間から次の「苗」が突きだしているのです。稲穂は茶色なのに「苗」は緑色。茶色の田面に田植えの後のように緑色の苗がずらっと並んでいました。しゃんと真っ直ぐに上に向かって。おそらく稲本来の力なのでしょうね。ものすごい生命力です。
コンバインのこと
 思い切って購入した新型コンバイン。エンジンも大きく、とにかく動作がものすごく早いです。旧型と比べて どんどん作業が進んで行きます。例年なら どんなに一生懸命刈り取ってもセンターにある乾燥機が満杯になることはシーズンに数日しかありませんでしたが、今年は ほぼ毎日満杯になりました。
すると自然と帰社も早くなりますよね。これはこれで悪いことではないのですが。肩透かしと言いますか、もっとガンガン頑張れるのに、施設(乾燥機)の都合で仕事を終えなくてはならないのはやはり残念です。もう数日あれば、台風被害も避けられたことを考えると、来年は乾燥機を追加しようか迷っています。よりよく働くために、良い収穫を得られるように。
30年産の品質について
 今年のお米は、夏に高温が続いたため乳白色の粒が散見されます。今年の気候での特徴としてそのようになりました。高性能の選別機を新たに導入し、できる限り入らないように注意しておりますが、完璧ではありませんので 気になられる方も多いかもしれません。
もし、気になられるようでしたら、松幸農産までご連絡ください。すぐに交換させて頂きます。
 

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2018年9月11日 (火)

あぐり新聞 2018年9月号

収穫が始まりました!

皆様へ

 まだまだ残暑とも呼べないほどの暑さと陽射しが大気を支配しています。いかがお過ごしでしょうか。どこかに逃れようとしても、目の前の田んぼに日陰はなく、逆に近づいてくるコンバインの轟音と更なる熱気に軽くめまいがします。異常なほどに暑かった夏を乗り越えついにこの日がやってきました。30年産の米作り。その集大成の稲刈りがスタートしました!

 さて、松幸農産では いよいよ収穫期に入りました。待ちに待ったというより 今年は「突然」に始まったというのが実情です。春の田植えが苗の都合でいきなり始まったように、刈り取りもまた突然のスタートでした。

 「あれ?」と思ったのが8月の初旬です。8月20日頃に適期となるはずの酒米「五百万石(田んぼ2枚分」が色落ち始めました。少し早すぎます。気にして見ているとどんどん色落ちが進んですぐに適期を迎えました。もともと生育が短い品種なのでこれはこれで良し。たんぼ2枚のことなので8月10日には収穫してしまいました。

 「はっ?」と思って、メインのコシヒカリに目を向けます。こちらは少し遅いものの同様に色落ちが始まり、水分も落ち始めています。逆にこれはマズイと思いました。コシヒカリは収穫する量も五百万石とは けた違いに多いのです。早すぎては困ります。例年であれば、お盆前に水路の水が止まり、従業員はお盆休みを取って お盆明けから収穫の最終準備を行って8月23日に収穫を開始。このままだと、お盆休みはありません。でも 刈り取る時期が来てしまったら、刈り取らないとどんどん時期が遅れていって全体的な刈り遅れとなってしまいます。

さらにもう一つ、収穫の最終準備ができていません。新車のコンバインは良いとして、前からあるコンバインの最終整備はこれからです。また、運搬用のダンプカーも借り受けるのはお盆明けでお願いしてありました。これもすぐに手配できるかわからない。8月上旬にして急に慌ただしくなってしまいました。

 そして、どんな話になるかと言いますと すぐの刈り取りに備えて、まずは「休みが無くなっても出勤できるのは何人いるのか?」、「すぐにコンバインの整備をしろ!」、「借りられるダンプカーをすぐに借りてこい!」とカオス的な状況になります。すぐに走り出して準備が間に合いそうなのがスタッフ半数、機械も半分。できるのはここまで。もうやり切ることを覚悟しました。そして、お盆直前・・・

 色落ちは進んで、適期を見極めるために水分を確認しました。「あれ?思った以上に水分は落ちていない?まだ早いのでは?」 でも、酒米は明らかに早かった。コシヒカリも早いに違いない。全体的は水分は刈り取ってみないと分からない。そんな感覚で「とにかく1~2枚刈り取ってみよう」となりました。そして、結果は・・・

 「あ、やっぱり早い・・・」1週間は早いと確認できてしまいました。完全な勇み足です。思うに今年の暑さが生育を早めている現状と酒米が実際に早かった現実で見る目が狂ってしまったのでと思います。色落ちの具合から見た水分の落ち具合も想定と違っていました。「何だったんだ、この数日は?」 しれっと風に揺れている稲穂を見て 少し恨めしくも感じます。おかげで無しを覚悟したお盆休みも取れてしまいました。これは幸いなのでしょうか?

 お盆が明けて再確認してみると今度は思ったように水分が落ちています。開けて3日後には刈り取り適期が来ました。その間、バタバタとしていきなり刈取りは始まりました。結果、例年より5日早いスタートです。その後、8月下旬~9月下旬まであとは止まらずどんどん収穫を進めています。

 振り返ると今年は「想定外」なことばかり起こった米作りでした。苗もそう、肥料もそう、収穫もそうです。こんな年は珍しいのではないでしょうか。原因を総括するならそれはやはり「暑さ」のせいです。全体の刈り取りが進んでいない段階なので最終結果は分かりませんがそれも苦労した分、愛着のあるお米。困らされて、困らされて育てたお米です。

 そんなお米が、皆様や私たちの健康で元気な生活のもとであることを願ってやみません。今年のお米はいかがでしょう。

                                    農業生産法人 松幸農産

                                    代表 松田丈輔

「すいません。知りません・・・」

あるお客様からのお電話。「コクゾウ虫はどこから侵入するの?」との問い合わせがありました。倉庫の中で「湧いてくるもの」、「いつの間にか侵入するもの」と認識していましたが、どこがスタートか分からず答えることができませんでした。コクゾウ虫はどこかに必ずいて、発生を抑えるには低温にすること(又は薬剤で燻蒸)までが思考の行き止まりで考えたこともありません。すぐに問い合わせました。農薬の卸業者さん、小米の卸業者さん共に正解がなく、県の農業研究所に聞いてようやく分かりました。

田んぼにて稲穂に卵を産むそうです。低温では活動せず、温度が上がると孵化しますし動き始めます。農薬で防除することは行いませんので、やはり自然と侵入してしまいます。米の保管は出来る限り低温でお願いします。今回は答えられず申し訳ありませんでしたが、私自身すごく勉強になりました。

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2018年8月 4日 (土)

あぐり新聞 8月号

皆様へ

 記録的は酷暑の中、皆様いかがお過ごしでしょうか。
いよいよ収穫が目前に迫ってきました。7月下旬現在で、倉庫のお米はほぼ空っぽになり、代わりに新しく買うことになってしまったコンバインが静かに出動の時期を待っています。

 8月の雨が降る日に乾燥機と倉庫の掃除、古いコンバインのオイル交換や整備を行って、お盆明けには収穫用のダンプカーをレンタルして全ての準備が整います。予定では8月25日頃には刈り取り開始、すぐに出荷が開始できるかと思います。
30年産の新米まであと少し!今しばらくお待ち下さい。

 さて、「もう暑くて暑くて仕方ありません」と先月に書きましたが、「もう暑くて死にそうです」に訂正させてください。木陰にいても、ムワッとした熱波から逃れるわけでもなく、また心地よいはずの風もただの熱風でしかありません。
毎日ただ ただ「怒り」がわき起こるばかりで、「明るく 元気よく働こう!」なんて言おうものなら それこそ空気の読めない馬鹿者の言葉と誰しもが思うでしょう。それが今年の暑さで、私たちの伊勢平野も例外では全くありませんでした。雨も降らずに、曇りもない。本当にひどい天候です。

 テレビを見ていると、何かの基準を越えたりして、「危険ですので外出は控えましょう」とアナウンサーが呼びかけたりしています。確かに命の危険さえ感じる暑さですので、言われていることはもっともです。でも、私たちお米の生産者はこの時期は炎天下の田んぼ以外の仕事はほとんどありません。田んぼの止水板の撤去が主な仕事。それらを一つ一つ行わなくてはなりません。どれも避けることはできないのです。

 更にもう一つ。7月下旬に今年ならではの仕事が増えました。それは肥料を追加することです。冬の土づくりで松幸農産の田んぼの地力は弱くありません。肥料過多にならないように、かつ適切な品質と収量を確保するために準備してきたからです。
しかし、春から暖かく暑かった今年は苗は旺盛に生育してしまいました。良く育っている分、必要な栄養素も多く必要で、またこの暑さに打ち勝つ生命力を維持するためにも、更に養分は増えてしまいました。見ていると少し「色落ち」が激しくなって、ヘタってきているのが分かります。

こうなると元気を取り戻すために少し肥料を追加するしかありません。方法は肥料を積んだ約40Kgのランドセルのような動力散布機を背負って、田んぼの中を練り歩くのです。大きく育った苗を傷つけないために大型機械は田んぼに入れませんので、この時期は人力だけが頼りです。
上から直射日光、下からの湿気、背中で轟音をあげるエンジンの熱気。さっさと終わらせたくても、40Kgを背負った状態でつまづいて倒れると、もう立ち上がることができないのでそうならないよう自然と歩みはゆっくりとなります。濡れ雑巾のような状態でもうろうとする意識で 「もうやらなくて良いんじゃないの?」 と思ったりもします。でも元気をなくしているのは全体からみて多くないし、頑張れば手の届くことだし何より見捨てることはできないし、毎日弱っていく姿を見続けるほど強くないし。そんないろいろな葛藤を乗り越えて、結局この作業もいつしかは終わっていました。

 暑すぎる夏は何も良いことがありません。稲に被害が出たり、誰かが熱中症で倒れたり、不測の事態が起こります。高温がどれほどお米に影響しているか楽観もできません。
ただ、それが現実ですし農業です。良いこともあれば、悪いこともある。自分たちは一生懸命できることを行い、あとは受け止めることが仕事です。

苦労した米作りも最終章を迎えました。8月下旬に収穫するお米が素晴らしいものであることを願っています。また、今年の夏が来年にはただの思い出話になることを同じくらい願っています。

                            農業生産法人 松幸農産
                                 代表 松田 丈輔

空調服について
 先月号で話題にしました扇風機付きの空調服ですが、全員分を購入することに決めました。外気の熱風が送られてくるだけなので期待していた「クーラーの中」みたいな感じではありませんが、少し快適に過ごすことができます。シーズン終盤の今ではなくもう少し早く導入していればと後悔しています。来年は買ってよかったと思える暑い夏か、必要なかったと悔しがる涼しい夏か、どちらが良いか迷うところですね。

スズメが・・・
 一部、作付ている酒米の五百万石。コシヒカリと比べて生育が非常に早いです。他を追い抜いて一番に稲穂になってしまいました。新米を待っているのは何も人間だけでなく スズメたちも同じ。この田んぼを目指して、毎日スズメが集まってきて困っています。数年ぶりに田んぼに防鳥テープを張り巡らせました。効果はいかに?

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あぐり新聞 7月号

皆様へ

 夏本番が始まりました。皆様いかがお過ごしでしょうか。

照りつける陽射しとムワッとする空気。じっとしていても流れ出る汗。
もう暑くと暑くて仕方がありません。

冷却ファン付きの作業着を着用すればクールに過ごせるのかもしれませんが、まだあまり普及していないところを見ると、「よし、買おう!」 と決心もできません。
「対策は?」 と言われると何もなくて ただただ 「暑いと考えない」 と答える。暑さは快適さを求めるのではなくて、乗り越えるものだと考えています。皆様はどうですか?

 さて、小麦の収穫が終わった松幸農産。今年は不作となってしまいました。転作を始めて5年ほど経ちますが、ここまで期待通りにいかなかったことはなく、実は非常に頭を痛めております。
農業法人である限り、農産物は必ず一定量を収穫しなくてはなりません。もちろん、天候によってうまくいかないことがありますが、そういったことを考慮して、また予測 したりして減収によるリスクを乗り越えていくものです。
大幅な減収に陥った場合の共済制度もあって、最悪はそれに助けてもらうことになるかもしれませんが、あくまで保険の位置づけで、「使うべきではないもの」 として考えています。ですから、常にきちんと収穫できるように最新の注意を払いながら日々作業を行います。
ただ、小麦には「連作障害」という避けては通れない問題があります。お米とは違い、畑作物の小麦は同じ圃場で毎年作り続けることができません。また、排水性の高い圃場(畑の地質)が適していて、保水性を必要とする田んぼとは性質が異なります。

 松幸農産のある伊勢平野は、お米を育てるには適したしっかりとした土壌が多く、麦を育てるサラサラした畑の土壌が少ないのです。連作が効かず、小麦に適した土壌の圃場も少ない。この条件ではどうしてもお米の土壌で小麦を作らざるをえません。
今年がそれにあたりました。連作にならない田んぼに小麦の種をまいて、雨が少なければうまくいき、雨が多ければ減収になることを覚悟ですすめるしかなかった。それが裏目に出たのです。予測できたことだけど、実際に起こると残念でなりません。共済を使うほど減収ではなかったことが唯一の幸いでした。

 さあ、こうなるともうお米に頼るしかありません。「お米の収穫が悪ければ・・・」 なんて考えたくもないし、考えてところで何の足しにもならない。田植えをして2ヶ月以上が過ぎ、もう戻ることさえできないのです。
今、田んぼにある苗を大切に育てるしかない。ここまで来ると、あとは苗の自力と天候が大事ですが私たちができることがまだあるのではないかと自ら問いかける日々です。
ただ、一つだけ光明があるとすれば、今年は冬の間に例年以上に土壌改良に力を入れておいたところです。小麦の減収を予測してのことではなく、より良いお米を育てるためにより良い土壌を作っておこうとの考えからでした。小麦用にもお米用にも行ったことなので、楽観することはありませんが、現在の苗はがっしりとした体躯を、どっしりとした根が支えて非常に力強く育っています。十分に地力を吸い上げ、日照がしっかりあればお米はなんとかなるのではないか。いや、もしかしたら小麦の減収分をカバーするに足りるのではないかと祈る気持ちで期待しています。

 農業が数式にようなら良いのにと思わずにはおれません。「1+1=2」のように 「農作業+努力=良い収穫」 となればどれほど良いことか。でも、実際はそこに様々な要因が複雑に絡まり合って、時に「足し算」 時に「引き算」、ある時は「掛け算」、またある時は「割り算」と変化し続けてしまいます。同じ手順で同じ作業をすることが、一つとして結果を担保してくれるものではない。宿命と一言で片づけるには、あまりにも辛い現実が確かに農業にはあります。
「打ち勝つ・・・」しかないのですね。失敗は来年に打ち勝つための材料に、成功もまた来年に負けないための材料に、一つ一つ積み重ねて生きていくしかありません。

7月に入り、お米の収穫のためにできることは、もうこの1ヵ月だけです。最後の最後まで、のたうちまわって頑張っていきます。

秋に素晴らしい収穫が迎えられることを心から願い、そして毎日祈るように過ごしております。

                           農業生産法人 松幸農産
                                代表 松田丈輔

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2018年6月 2日 (土)

あぐり新聞 6月号

皆様へ

 梅雨の季節になり、少し過ごしにくい日が続きますね。皆様いかがお過ごしでしょうか。6月初旬の松幸農産ではバイク溝掘り機=田面ライダーで溝付けと軽い中干しをします。

 中干しは、田への水を控えて軽く地面を割る基本的な作業です。土中への酸素の補充と根の生育促進、また分けつを抑えて穂への栄養を集める効果があります。土が乾きすぎると、地面が大きく割れて、根を引き裂きかねないので少し注意がいる作業でもあります。麦の刈り取りが同時並行で行われていきますのでこの期間は、米チーム、麦チームに分かれ田植えの時期ほどではないにせよ「あれもこれも」「これもあれも」と、ちょっとのことが忙しくせわしなく感じます。ただ、雨天では涼しかったりするので作業する我々は、湿度は高い割に過ごしやすいです。皆様と逆ですね。

 さて、今年の田植えは例年と違うところが3つありました。一つは非常に湿度が高かったこと。先月のあぐり新聞に書いたとおり、育苗では苦労することになりました。その後の耕作がスケジュール通り進まずに非効率になった分を取り戻すのが本当に大変でした。

 二つ目は田植えをする面積がひよっこりと増えたことです。田植えの直前にパタパタと耕作の依頼が来て、前の年の一割くらい増えたのです。

 三つ目は手伝ってくれるはずの人が交通事故で来られなくなりました。事故でけがはなかったそうですが一名減での田植となりました。「非効率」「仕事増量」「人員減」と猛烈に働く状況に追い込まれ、必死に走り回った今年の田植え。それでも5月中旬にはほぼ予定通り終わることができました。では例年通りきちんとできたか?というと・・・。畦の草刈りまでは・・・。さすがにすべて良し!とまではいきませんでした。

 畦の草刈りは事前準備ができません。当たり前ですが春に雑草が一斉に伸び始めるからです。田植えが始まる10日ほど前{4月1日}から草刈部隊がスタートするのですが、この10日のアドバンテージを田植え終了まで守っていくのが部隊の至上命題です。代掻きや田植え{本体}の前に畦がきれいに刈られていると地域から評判も上がるし、何より作業に入る本体が気持ちよく、かつ安全に作業ができます。田植え後の管理部隊も畦がきれいだと漏水の穴を見つけやすいし、マムシに遭遇しても逃げることができます。耕作に直接関係ないようで非常に大事なことでもあるのです。もともと草刈部隊は4名ですが、若干不足を感じることもあり、少し手が空いたら、草刈り部隊のヘルプに入ることが全員の共有事項となっています。

 ところが今年は上記3つが例年と違います。苗の関係で最初にあちらこちらと植えていったばかりに、なかなかヘルプに入れません。面積が増えたのに直前過ぎて手伝いに人を確保できないまま田植えシーズンに突入しました。その上、交通事故で来られなかった人の分を補充するため草刈り部隊から一人移動してもらわないと本体の田植えが進まなかったのです。これでは当然遅れてきます。

 結果、どうなったかというと4月の下旬には本体に追いつかれ5月の頭には追い抜かれてしまいました。こうなるとちょっとの空き時間でも田んぼに走って草刈りをしなくてはなりません。ですが、田んぼの前に立って唖然とします。「そうだ・・今年は暑いのだ・・・」苗の育ちが早いということは当然雑草の育ちも早い。それこそ草ボーボーの状態でした。もはや完全に手遅れです。こんな状態なのに今まで時間を稼いでくれた草刈り部隊の頑張りに感謝しながら草刈りを続けました。

 「これって誰のせい?」と振り返れば十分な人を配置できない会社のせい。すなわち私のせいだなと思います。田植えが始まって立ち止まれないことはいつもですが、この状況を避ける手立てを打つべきでした。田植えが終わってホッとする間もなく、草刈りに走っていくスタッフの後姿を見てそう感じざるを得ませんでした。

 言い訳はなし!来年は上手くやる!そう考えるだけです。一年、一年、一日一日、状況が変わっても対処できる体制を作らなくてはなりません。今年はすごく勉強になりました。

                        農業生産法人 松幸農産
                               代表 松田 丈輔

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2018年5月 3日 (木)

あぐり新聞 5月号

皆様へ

 もう初夏と言っても良いくらいの5月の陽気。皆様いかがお過ごしでしょうか。

 松幸農産では、5月中旬まで田植え、下旬の麦刈りと目まぐるしく日々が過ぎていきます。次から次へと、こうも忙しくて良いものか、と心折れそうになることもありますが、泣きごとを言っても始まりません。特に今年は田植え直前に耕作面積が増え、しかし、人数は例年通り。誰一人欠けても終わりません。「やりきる!」この一言に全てをかけて、ここ一番を乗り切っていきます。やる気が沸騰する農業現場。これこそ5月です。

 さて、今年の田植えは全く想定外です。スケジュール通りに進まないのです。何故って、暖かすぎるからです。苗がグングン大きくなって、私たちに田植えを強いるのです。

 先月末に、この あぐり新聞を書いている時、すでに怪しい感じはしていました。どうも今年は暖かい。桜があまりに早く満開になり、屋台が出揃う前に散ってしまいました。長男の中学入学日は葉桜で、桜をバックに記念撮影は・・・、 やめておきました。各地でも桜祭りが中止とのニュースが流れていましたね。三足くらい早めの春到来でしたね。

松幸農産の田植えは4月12日スタートです。この10年くらい変わっていません。この日にダムから分水され、水路に水が流れるからです。流れ出したら即、田植えのスタートです。まだ若干寒さの残る3月中旬に苗をハウスに並べます。3月の寒さを計算しての育苗期間を25日と定めています。次に4月下旬に並べる苗は暖かさを見越して15日間。実に10日間も差があるのです。

 「とにかく温度を下げてくれ!」早すぎる生育を見つめながら毎日育苗担当者と話していました。温度さえ下がれば苗の生育スピードを遅らせることができます。例年なら何でもない事です。しかし、今年のようにこれだけ日光が照ると開閉窓のついているだけのハウスでは気温以下には下がりません。4月初旬、田植えの1週間前にはなんと苗が完成してしまいました。びっしりと根が張って、シャンと背筋が通った最高の苗です。水路に水はなく、植えるべき田んぼは準備できていないままでした。

 私達に与えられた選択肢は2つ。早くできすぎた苗を廃棄して苗を作り直す。実現は可能ですが、損が出ますし それ以上にわが子のように大切に育てた苗を捨てるなんて最悪です。ではどうするか?別の選択肢は、段取りや能率・スケジュールを全く無視してとにかく準備できる田んぼを探しまくる、です。各所に点在する井戸水が使える田にまず水を張りました。入り次第、代掻きをして準備を整えます。また、水線によっては、『お試し通水』というのがあります。本線から支線にきちんと水が流れるかを試す、このお試しの水もおおいに活用して とにかく田んぼにはりました。出来上がった順に田植えを行っていきましたのでもうバラバラです。「1日でも早く、一刻も早く」を徹底したので何とか間に合い、苗に負担を与えることなく 無事 田植えを進めることができたのです。

 さて、ここで『めでたし、めでたし』と言いたいのですが、そうもいきません。実は、育苗計画の前倒しを行わなかったのです。苗が追いかけてくる状況で、更に育苗を進めようとは考えられなかったためです。するとどうなる?お察しの通り、早い苗はハウスから無くなり、次の苗は逆に追いつきません。暖かくなることを見込んでいるので、例年通りの気温に戻ってしまった今、苗の育ちが思うように進みません。「作業を進めたいけど苗がない!」馬鹿みたいな話ですが・・・。今年は本当に泣かされます。

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 バタバタの田植えですが、5月の中旬には無事に終えられそうです。苦労した分、しっかりと育って欲しいと思っています。が、今年は酷暑の予報・・・。夏の生育が今から気がかりです。

 しっかり土づくりをしたし、育苗も田植えもしました。ここから先は天候と苗の生命力が大部分を占めます。苗が元気に育つように私達も元気に!苗と私達、お互いに暑さを乗り越え苦労を分かち合って(?)一緒に秋へと向かっていきます。

 いつも田んぼの苗とは戦友みたいな関係です。「頑張ろうな!」と声をかけています。

                          農業生産法人 松幸農産                                       

                            代表 松田丈輔

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2018年1月16日 (火)

あぐり 新聞

 

 

 

 皆様へ

 

 いよいよ年もあけて、新しい1年がスタートしました。皆様いかがお過ごしでしょうか。朝は太陽が昇り、夕方には沈んでいく。実は何も変わっていないのに、何だか全てがリセットされて、新たな希望に満ち満ちていくのは不思議なものです。「がんばろー!」と言われると、反射的に「そうだ、がんばろー!」と返してしまう。根拠がなくても、幸せな気分があふれていますよね。だから1月は大好きです。

 

 11月、12月と少雨だったので、松幸農産では例年にないくらい作業が進んでしまいました。麦の種まきなんて、12月の中旬には終わっていましたし、1月から行う予定だった鶏糞の散布も、あっという間に終わりました。後は稲わらが完全に土に返って、今年の養分になるのを待つばかりです。「この調子なら、今年は何かいいことあるんじゃないか?」そんな話で盛り上がります。新たに始まる30年産のコメ作りは期待大ですね!

 

 

 

 さて、代表の私が言うのも変ですが、松幸農産は本当にいい会社です。「お米が良いから」を一番に挙げたいところですが、実は違って「働いている人が良いから」が一番の自慢です。誰一人例外なく、みんな素晴らしい人ばかりです。一生懸命にはたらいてくれるのはもちろんのことですが、人間的に魅力があって、みんな仲良くて、仕事にまじめに向き合って、より良くするためにいつも考えてくれて、実行してくれて。そうしてお互いに頑張れることが何より幸せに感じます。こんな話をすると、「それは社長が良いから…」とお世辞を言ってくれる人もいるのですが、それは笑って完全に否定できます。そうではないですね。「みんな良い」いつもそう思います。土づくり、良いお米を収穫する工夫、新しい販売方法、お客さんが来てくれる努力、積極的なPRなど、小さいながらも本当に沢山の取り組みを行っていますが、すべてみんなの挑戦や苦労の上に成り立っていて、それらが少しずつ着実に実を結んでいって松幸農産の今があります。いつからでしょう?覚えていないのですが、自然発生的に積みあがってきたものです。「どうしてですか?」と聞かれれば、「働いている人が良いから松幸農産は良いのです」という答えしか見当たりません。何にも代えがたい松幸農産の自慢。それは「人」で、そういう人たちが作るお米であったり、ケーキであったり、運営する飲食店であったり、また受付や発送業務であったり、動物の世話だったりします。だから、松幸農産のお米はおいしいし、ケーキや食事なんかもおいしい。来ていただければ、なんとなく気持ちがいい、そんな風に考えています。でもなかなか伝わらないですよね。内部的なことですから。新年ですので「松幸農産の姿」をトピックにして何か書こうと思ったら、このことがスラスラ出てきてしまったので書くことにしました。皆様の持っておられるイメージと同じだったでしょうか?

 

 

 

 これからどれほど、AIの時代が来て業務が効率化し、機械やシステムが自動化して効率的になっていったとしても、結局すべて「人」が大事なのだと思っています。15年くらい前に教えてくれた人がいました。最新鋭の機械やシステムさえあれば何でも可能になると、そんな風に語られる時代でもあります。でも、前時代的であっても、少しくらい能率が悪くても、どこか「人間臭い」部分があったほうが良いと思われないでしょうか。ご飯は手作りがおいしいし、人とは会ったほうが楽しい。間違いないですよね。

 

松幸農産は小さな会社ですが、「人がいる会社」です。そんな人が、今年も一生懸命お米を作ります。新年を迎えて、思いは新たに、良さはそのままに頑張っていきます。

 

皆様にお届けする品物の後ろに、頑張るみんなの姿を想像して頂けますと嬉しいです。

 

 

 

農業生産法人 松幸農産

 

代表 松田丈輔

 

 

 

 日本酒プロジェクト 第2

 

 産官学連携の日本酒プロジェクトですが、新たに社団法人を設立しました。その名も、「一般社団法人 神都の祈り」です。なんか宗教法人みたいですが、伊勢神宮のおひざ元にできた組織ですので、これはお許しください。私たちの日本酒「神都の祈り」を中心に、参加組織を募りながら、次の展開をこれから考えます。そして理事長には私、松田が就任します!もう完全に「実権なしのお飾り」というか、「消去法の貧乏くじ」というか、2度もフランスに連れて行ってもらったので、断りきれずにやることになりました。でも、こちらも奇跡的に良い構成メンバーに恵まれたので、共に新しい挑戦ができればと思っております。形や方針が決まったら、またご報告させていただきます。

 

 

 

 スイーパーの件

 

 皆様、「スイーパー」って知っていますか?一度ネットで検索してみてください。手動の芝刈り機みたいな形で、それを押すだけで、ゴミがすいすい取れていきます。今までほうきと塵取りで1時間はかかった倉庫の掃除も、これ1台で10分で終了です。お値段は約5万円。「早く出会いたかった!」の声が続出です。本当に便利です。なんかテレホンショッピングの1シーンみたいになっちゃいました!

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